RITARU COFFEEが
北海道大学と共同で開発した
燻製コーヒー「アノトキ」。
コピーライター/クリエイティブディレクターとして、
ネーミングから商品コピーに至るまでの
一連のコピーワークと、
パッケージ開発、Webページ制作を担当しました。

老朽化していた橋の撤去工事に伴い、
北大敷地内の木が伐採されました。
それらの木々を活かすため、
チップに変え、コーヒー豆を燻製する
という商品概要が決まった段階から、
私はプロジェクトに参加。
まず、商品価値の根幹を言葉で
定義することから始めました。

最初に考えたのは、
普通のコーヒー豆とは異なるポジンションに
商品を位置づけようということです。
売れる商品であることは当然大事ですが、
それ以上に
「なぜこの取組を
RITARU COFFEEが行っているのか」
を明確に表明すべきだと考えました。
単なるコラボ商品のひとつとして
見られることを避け、
RITARUというブランドに
さらなる奥行き・深みを持たせるためです。

橋をめぐる活動の背景などを踏まえて、
「北大の木々の記憶を、コーヒーとして残す。」
ということを軸に設定。
その上で、
以下のようなコピーを書いています。

「あの木々を、
忘れたくないと思った。

そこは、北海道大学のキャンパスのはずれ。
人の営みのために切られてしまった木がありました。
その数、320本。
人と自然とが共生していくためには、
仕方のないことかもしれません。
でも、せめて切られた木は、なんとかできないか。
そこで私たちは、木に残された力を借りて、
新たなコーヒーをつくろうと考えました。
伐採された木を使って豆を燻煙した、
燻製コーヒーです。
樹木の香りをまとわせることは、
記憶をコーヒーに託す行為にも思えてきます。
木は、確かにそこにあった。
数十年以上、この地の風景だった。
それを忘れたくなくて、このコーヒーは生まれました。」

このコピーを指針として、
パッケージデザインを開発。
主役をコーヒー豆ではなく、
北大で生きていた木々にするため、
「美味しい」という文脈からは距離を取ることに。
結果、コーヒー豆としては異質で、
かつ自然な佇まいのデザインを
佐藤暢孝さんが生み出しました。

なお、パッケージに使用している写真は、
カメラマンが撮り下ろしたものではありません。
商品誕生のきっかけをつくった
北海道大学の研究者であり
アーティストである朴炫貞さんが、
記録として撮影していたものです。
風景の記憶を呼び起こす象徴的な一枚として
パッケージに使わせてもらいました。

特設WEBページもあわせて御覧ください。

 

 

 

Client:RITARU
Production:EXTRACT
Art director:佐藤 暢孝
Designer:佐藤 暢孝
Producer:朴炫貞
Creative director:東井
Copywriter:東井