脇坂工務店による銭函の賃貸レジデンス。
その立ち上げにあたって、
コンセプト開発からネーミング、
ロゴやサイン開発のクリエイティブディレクションまで
担当しました。
「普通の人でも、セカンドハウスを持てるということを
世の中に提案したい。
また、銭函の暮らしを試したい人にとっても、
選択肢となる建物にできれば」
脇坂社長のそんな考えから、
本プロジェクトは始まりました。
設計は、
一級建築士事務所アーカイヴの杉山友和さんによるもの。
通常の賃貸物件では見られないような
デザイン性と機能性に富んだ住居となっています。
2021年の構想段階から、私はプロジェクトに参加し、
まず物件のコンセプトを言語化しました。
賃貸のセカンドハウスとして利用する人は、
少々大袈裟にいえば、
もう一つの人生を手に入れるのだと言えます。
この物件の立地は、
海沿いの高台にありながら、
立ち並ぶ木々が視界を遮る場所。
そんな「見えない」環境だからこそ、
「見える」ものがあるのではないか。
それこそが、
もう一つの人生として意味を持つのではないか、
と考え、
「ちがう生き方が、見えてくる。」
というコンセプトコピーを書きました。
「生き方を変えたい」という欲求は
誰しもが大なり小なり持っているもの。
それをハードルの低い賃貸物件によって
叶えられる点が、
対象となる人たちに支持されるのではないか
と考えました。
その上で、「Ki-Q」というネーミングを開発。
これも「見える」というところから、
展望の良いものの象徴として
気球をモチーフとした名称としました。
言葉を起点として、
スタジオワンダーにロゴマーク、
敷地内サインなどを制作してもらいました。
印象的なロゴマークは、
あたかも気球に乗って
空から地上を眺めた時に「見えてくる」
海岸線、鉄道、地形の3要素を
異なる質感の線で表現したものです。
駐車場や家庭菜園、BBQスペースやテントサイト(!)の
位置を示すサインは、賃貸レジデンスという特性上、
居住者が何度も目にすること想定して、
自然に馴染むようデザインされています。
入り口の灯りも、
気球をイメージしてオリジナルで制作しています。
Client:脇坂工務店
Production 、Gaze fotographica
Art director:野村ソウ
Designer:野村ソウ、杉原茉侑
Sign designer:森菜摘
Photographer:古瀬桂
Sign Builder:ナカ工房
Creative director:東井崇
Copywriter:東井崇